彼の頭はつっかえた

なんか雑記ばかり書いてますが、一応掌編載せる予定です。

雑記⑧

  世の中が暗いのか、それとも、暗いものばかり目につくだけなのか。考えてみれば、幸福よりも不幸な話の方が記憶に残りやすいかもしれない。物語の波の作り方としても、やはり不幸があると目的やテーマを定めやすくなる。人の不幸は蜜の味、とはよく言ったものだ。

  しかし、蜜の味にも様々あるように思う。例えば、他者との共感や賛同のために不幸が扱われている場合も多いだろう。SNSであらゆる情報が増幅されやすくなったと思うが、それは同時に世の中の不幸を強調させやすくなったと感じる。共感や賛同がしやすくなるということは、同時に幸福も不幸も広がりやすくなった気がするのだ。そして、不幸の方が盛り上がりやすいので、世の中がより暗く見えてくる、という話かもしれない。

  などと絵空事を書いてみたが、世の中が暗いか明るいかという基準が僕にはないので、やはりこれも僕の見ているものが暗いだけなのだという話になる。かといって、僕もまた例に漏れず不幸を好んでいるので、暗いからといってどうにかしようなどとは思わないのである。そういったことは、生命力に溢れた方々が好きにやってくれるだろう。

  僕の考えでは、表現者は作品で思想性を表現すれば良いと思っているものの、そもそも作品を手に取ってもらえるかどうかも分からないので、直接訴えた方が共感や賛同を得られやすいのかもしれない。とはいえ、本末転倒な気もするのだが。

  ただ、商業的に活動されている場合、作品で思想を表現するのは難しそうだ。生活よりも主義を優先するには、余裕だとか、投げやりだとか、いずれにせよ現在に不安がないからこそな気もする。まずは金、何にせよ金か。油田くれ。