彼の頭はつっかえた

なんか雑記ばかり書いてますが、一応掌編載せる予定です。

感想「かぐや姫の物語」

竹取物語を読む前に、イメージしておきたかったので高畑勲版を一度視聴してみた。どうも元々の竹取物語とは異なる要素が多く感じられ、舞台や人物の設定の変化から、説教くさいものを感じた。残り30分あたりから疲れてきて、20分辺りでなんだこれ? と疑問が湧き、残りはもう苦痛を感じた。
これが本当に竹取物語のままであれば、それほど説教は感じなかったかもしれない。商業的な意識なのか、それとも、監督自身の思想性のためなのか(考えてもみれば、原作を2時間近くの映画にするのであれば、何かしら付け足さざるを得ないわけで)、かぐや姫とおそらく捨丸は性格設定が現代で、それ以外の人物が過去の価値観を持っている。これが明治期ぐらいの話であれば、とりわけ違和感を覚えなかったと思うのだが、平安時代竹取物語となってくれば、あくまでも監督の思想性を表現するための駒のように思えてきた。竹取物語を見たいと思ったので、僕には合わなかったようだ。高畑勲の遺作を見たいという目的なら、楽しめたのかもしれない。
また、嫌な役回りのキャラクターが露悪的に描かれていたのも、あまり好みではなかった。見ていて分かりやすいことは確かだが、不快な気持ちになるのも確かだった。露悪的に描かれたキャラクターに、不快感を抱くことは何もおかしいことではないが、それがまた、少し説教のように感じられた。
総じて言えば、案外子供向けの作品だったのだろう。演出や節々な展開は置いておくとして、表面上のテーマはかぐや姫が言い切っていると思うので、分かりやすいと言えば分かりやすいか。
付け加えておくと、僕は火垂るの墓は好きだ。岡田斗司夫の解説を含めて、面白い作品だと思う。