彼の頭はつっかえた

なんか雑記ばかり書いてますが、一応掌編載せる予定です。

雑記「変化」

春は自殺が多いと聞く。現状が不安な上に、新しい生活の不安に苛まれやすいのかもしれない。実際、僕もそうなりがちだ。
古事記における須佐之男命は、自らの穢れを浄化するために川に入り、髪を切ったという話を講義で聞いたことがあるような気がする。「ような気がする」と書いたのも、正確に伝えなければならないと思いながらも、わざわざ調べる気にもなれないからだ。生活の変化は、この穢れの浄化と似たようなものだと思ったりする。
これは春に限らず、年中無休な変化でもある。恋人の友人が、彼氏に飽きられていると不安になっていたそうなのだが、その彼氏もまた、一つの心の変化が起きているかもしれない。この変化も細かなものだ。新しく惹かれるものを見つけた可能性もあれば、少し付き合うことに疲れてきたのかもしれない。人間同士だからこそ、どのような変化が起きるか分からない。主観的に見れば、ほとんど無作為のようなものだが、だからこそ人間は面白い。分からないことは恐ろしくもあるが、面白くもある。
相変わらず小説のことばかりだが、このような不条理の肯定は、過去の作品でも繰り返してきたテーマだ。しかし、僕は不条理の一面しか見ていなかったようだ。必ずしも、不条理は不幸な感情だけを示しているのではなく、幸福な感情さえも不条理なのだ。結局、「相対」そのものが不条理だ。
そう考えると、人間はいいものだ。僕も人見知りはするし警戒心は強いものの、それもまた、僕という人間の特性以上の意味は何もない。