彼の頭はつっかえた

なんか雑記ばかり書いてますが、一応掌編載せる予定です。

戯言「昔のこと」

最近、昔を振り返っている。つくづく、生き続けるというのは、罪を重ねることのように思う。そして、僕はその罪を告白しなければ気が済まないような性格でもあるらしい。梶井基次郎のノートにも似たようなことが書かれてあったような気がする。どうしようもない性格なことは確かだろう。

 

最近、気づいたことがある。僕は知らないことが恐ろしく、知ることが嬉しいらしい。どうも生活に根付いているようだ。知らないものを知ることで、安心や喜びを得られる代わりに、知らないことで悩むと恐怖を感じたり、無理やり理解しようとするらしい。過去が関わってきた人たちには、その性格でとても苦しめてしまったように思う。相手が心を開いていると感じられなければ、不安定になっていく。そのことで何度も罪を重ねてきたように思う。

 

だが、これはもう性格というよりも性質の問題だと思っている。諦める、というほどの後ろめたさもない。ただ、本当は僕の不安定さが引き金に過ぎないというのに、難癖をつけて自ら大切なものを手放してきたのだろうなと感じる。恐怖から逃れたいからなのだろう。そのたびに、小説を書いては清算されようとしている。これでは破滅型の人間だ。もし、死後に天国地獄があるのなら、僕は間違いなく地獄なのだろう。

 

過去を振り返るのは、あまり良いことではないらしい。ただ、罪の自覚が強まるばかりだ。しかし、まだ死ぬ気もないので、生存して罪を重ねようと思う。それこそ、原罪ではないか。